【はじめに】
今回はポルシェ カイエンのエアサスペンション漏れ診断を例にエアサスペンションの診断手順を紹介する。
多くのエアサスペンション車両の診断に共通する手順であり、またバルブブロックは他のヨーロッパ車ブランドでも多く共通する部品を使用しているため参考になればと思う
(ただし配管の配置や制御内容は異なる場合があるため注意)

【診断対象車両】
メーカー:ポルシェ(Porsche)
車種:カイエン ターボ (Cayenne turbo) 9YA
年式:2019年
型式:ABA-E3K40A
走行距離:79,000km
【症状概要】
お客様の訴え:駐車していると前の車高が下がってくる
現車確認内容:駐車後数分で前の車高が下がってくることを確認。エンジンがかかっている間は車高を維持するがエアコンプレッサーが頻繁に作動する。

【診断条件・再現確認】
常時再現性あり
※ただしリフトアップなどを行った場合エアスプリングゴムの当たりが変わり漏れなくなる場合があるためできる限りの測定、点検はリフトアップ前行う
【入力故障コード(DTC)】
入力コード:なし
【点検・測定結果】
エンジン運転中の車高を計測後駐車し、車高を数分ごとに計測。
⇒左前、右前の車高が下がってくるが、左右で比べると左前が早く下がる。
測定項目・データ:
上記計測中診断機にてエアサスペンションの圧力を計測
測定値は、エアサスペンションCU⇒アクティブテスト⇒圧力計測にて表示できる。
測定の結果、左前の圧力が徐々に低下してくる。
右前の圧力はほぼ低下しない。
上記より、右前の車高が下がるのは左前の圧力が下がることにより右前の負担が増加するためと判断。
診断を左前系統に絞り込む。
現時点での推定原因は
・左前エアサスペンション本体の漏れ
・左前エアサスペンションからバルブブロックまでの配管、または接続部分の漏れ
・バルブブロック内部リークによる左前系統の圧力低下
まず配管接続部分をエアサスペンション、バルブブロック共に石鹸水にて点検⇒漏れなし
配管外観損傷等なし


次にバルブブロック部にて左前と右前の配管を入れ替え、エンジンを始動し規定車高まで上昇後再度エアサスペンションの圧力を診断機にて測定しながら不具合を確認
⇒圧力低下箇所が左前から右前へ移行(測定値上)

圧力センサーはバルブブロックに内蔵されている。
よって漏れは配管本体またはエアサスペンション本体に絞られる。
最後にこの2つから原因を特定するためにエアサスペンション本体の圧力漏れを点検する。
エアサスペンション本体には配管取り付け部に逆止弁が備えられている。
リフトにて車高を標準の高さに保持しながら、配管を取り外しエアガンにてエアサスペンション本体にエアを圧送する。
逆止弁によって車高は保たれるため、この状態でリフトを下げ、車高を保持するか測定する。


測定の結果車高は下がってきたため、エアサスペンション本体の不良と判断。
エアサスペンション本体を取り外して水につけて点検する方法もあるが、今回のエアサスペンションはダストブーツなどでエアスプリング部が覆われているためその方法では点検困難と判断し、今回の点検方法を取った。
【原因判明・対策内容】
原因:左前エアサスペンション本体不良(漏れ)
修理内容:左前エアサスペンション本体交換
左前エアサスペンション本体の交換はワイパーカウルやタワーバーなどを取り外す必要があり若干大掛かりな作業となる。



【作業後の確認結果】
再現確認:部品交換後、エアサスペンションの校正を実施し、車高を保持することを確認。修理完了。
【まとめ・技術メモ】
今回はポルシェ カイエンのエアサスペンション漏れ診断を例にエアサスペンションの診断手順を紹介した。
冒頭にも述べたが、多くのエアサスペンション車両の診断に共通する手順であり、またバルブブロックは他のヨーロッパ車ブランドでも多く共通する部品を使用しているため参考になればと思う。
(ただし配管の配置や制御内容は異なる場合があるため注意)
圧力センサーの有無や取付位置などを確認し、入れ替え可能な物や配管を探し効率よく診断を進める必要がある。


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