【はじめに】
ここでいう旧車のオートマチックトランスミッション(以下A/T)とは電車制御を用いていないメカニカルなA/Tを指す。
旧車に推奨されるATFとについて記していこうと思う。
【先に結論】
旧車に幅広くおすすめのATF
それはズバリ
「トヨタ ATF D-2」

【トヨタ ATF D-2が推奨される理由】
実はA/Tリビルト業者や、某大手インポーターのクラシック部門でも「トヨタ ATF D-2」が使われることがあるそうだ。
その理由は入手のしやすさと低価格にある。当時の「DEXRON II」規格に適合していながら今でも普通にトヨタ部品共販にて注文可能であり、価格もオイル専売メーカー各社よりもリーズナブルであるためだ。

【トヨタ ATF D-2 / DEXRON II 規格とは】
「トヨタ ATF D-2」は電子制御を用いずにメカニカルガバナーで変速制御する
アイシン製A/Tなどに使用されていた純正ATFだ。
「トヨタ ATF D-2」の製品説明には、よく「GMタイプ」や「GMのDEXRON(デキシロン)II規格に相当」と記載されている。
1960年代にゼネラルモーターズ(General Motors Company / 以下GM)が策定した「DEXRON(デキシロン)」という規格は、当時のATFにおける世界標準で、世界中の自動車メーカーがこのGM規格に準拠したATFを採用していた。
トヨタ(およびアイシン)は、自社製のATFを開発する際、自社ブランドのオイルを世界的に普及していたGMの規格「DEXRON II」に準拠するように設計した。それが「トヨタ ATF D-2」である。
(そのため、オイルの缶には「GMタイプ」と書かれているが、これはあくまで「GMが作った規格に適合したオイル」という意味であり、トランスミッション本体がGM製であることを示すものではない。)
【電子制御A/T用ATFとの違いは?】
電子制御を用いたA/Tでは、ソレノイドバルブに通電してバルブボディ内の通路を開閉しATバルブを制御する。
D-2などのメカニカルA/T用ATFでは粘度が高く、高温での潤滑性が悪いため高速の連続走行や長い登り坂でソレノイドバルブが固着し変速に不具合を起こすことを防止するため、粘度の低いATFを使用するようになった。
更にA/Tの電子制御化が進み、発進時に2速に入れロックアップクラッチを半クラッチのように滑らせて使用したり、変速時に滑らせて変速ショックを吸収する滑り制御が行われたりするようになり、従来のD-2などでは上手く滑らせることができないため、高温特性と滑り特性を良くしたATFが登場した。

【余談】
ちなみに余談だが、トヨタではロックアップクラッチを半クラッチのように滑らせて使用する制御を「フレックスロックアップ」と呼び、PWM制御よってロックアップ率を変化させる。
他メーカーでも呼び名は違えど同様の制御がある。
【余談②】
このように旧車におすすめの「トヨタ ATF D-2」
しかしながらFORD系の旧車は、やはり/ MERCON旧規格を使用した方がフィーリングが良いと言われる。
(DEXRON / MERCON規格の詳細は別記事を参照)
またローバーミニなどは、エンジンオイルと共通のATFであり、このような特殊なケースは、専用オイル規格の使用が求められる。
【まとめ】
このようにA/Tの構造や制御の内容に対して適切な油種のATFを選ぶことが必要である。
指定油種が入手困難であったり、指定油種以外のものを使用する時には、世代にあったATFを選ぶことが必要である。
・メカニカル制御のA/Tか、電子制御のA/Tか
・旧車の場合指定油脂がDEXRON規格のミッションか、MERCON規格のミッションか(新しいものは比較的どちらでも不具合は出にくい)
その構造や世代によって求められるATFの性能が違う。
理解を深めるとまた違った楽しさがある。
- 参考
- この記事は2025年7月6日にブリティッシュモータース様で行われたヘリテージトレーニングデイ第3回「A/Tミッション」の内容を元に記載しました。



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