【A/Tストールテストとは】
A/Tストールテストはトルクコンバータ内のステーターや、A/T内部の滑りを点検するために行う点検である。
【A/Tストールテストの方法】
パーキングブレーキを作動させ、Dレンジでブレーキペダルを踏んだままアクセルを全開にする。
テストは2~3秒で行うこと(詳しくは下記)。
【良否判定基準】

正常値:約2,500rpm程度

異常値①:約2,000rpm以下

異常値②:約3,000rpm以上、または吹け上がり
【異常値①の場合】
ストールテストの結果がエンジン回転数約2,000rpm以下の場合はトルクコンバータ内のステーターが機能していない可能性がある。
(ワンウェイの固着など)
この場合コンバーターレンジがなく、カップリングレンジのみになるためトルク増大が出来ず、発進トルクは無いがエンジン不調はない。
速度が乗ってくると正常に走る、というような症状になる。
《注意点》
エンジン不調の場合もストールテストの結果はエンジン回転数が低くなる。
A/Fの数値や故障コードなど別項目での点検でエンジンに不調が無いことを確認する必要がある。

写真:ステーターのワンウェイ
【異常値②の場合】
ストールテストの結果がエンジン回転数約3,000rpm以上、または吹け上がってしまう場合、A/T本体内のクラッチやブレーキが滑っている。
滑りが発生している箇所によって、DレンジのみでNG、RレンジのみでNG、またはDレンジRレンジともにNGの場合がある。
(お客様の主張する症状と照らし合わせて確認する)
NGの場合はA/Tのオーバーホールが必要になる。

写真:滑って焼けたクラッチフェーシング
【テスト時の注意点】
有効な点検手法だが滑りかけのA/Tにとどめを刺してしまう可能性がありリスクのある点検である。
テスト時間は2~3秒以内に実施すること。
特に下記には注意が必要である
・すでに走行に異常が認められる
・ATFの汚れが著しい
・旧車など年式のかなり古い車両
これらの車両はストールテストによりA/Tにとどめを刺してしまうリスクがかなり高い。
ストールテストを行うかどうか慎重に判断すること。

【まとめ】
有名で有効な診断方法で、A/T診断に限らずエンジン診断でもストールテストは実施するが、A/Tに負担がかかることをよく理解して行うべきである。
リスクを理解せずに多用すると、大きな損害を与えることになるため、再確認して理解した上で、点検を実施する必要がある。
参考
この記事は2025年7月6日にブリティッシュモータース様で行われた、ヘリテージトレーニングデイ第3回「A/Tミッション」の内容を元に記載しました。


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